このアンナ・マクダレーナの写本は今、世に出ているすべての原典版の第一の情報元として活用されています。他の情報として初版楽譜、バッハの弟子のケルナーの写本(これは完全なものではありません)、二つの無名の写本。2000年にこれら四つの資料すべてが入った楽譜がベーレンライター社から出版されました。この版には何もスラーがない音符だけの楽譜が一冊付いています。これはすべての情報を元に自分自身の原典版を作って下さいという意図ですが、何か“手巻き寿司かギョーザのタレ”みたいですね!この組曲の楽譜としては究極のかたちだとは思いますが私としてはこの“白紙”の楽譜の添付は必要ないのではと思います。その分安くしてほしい!
それ以外の原典版は、有名なチェロ奏者や音楽学者の意見を取り入れてひとつの原典版として出版されています。私はこれを原典版と呼ぶことに少なからず抵抗を感じています。
先ほどのベーレンライターの版で面白い物は19世紀初頭に出た初版の楽譜です。
1824年パリのコテル社から出たものです。
カザルスがバルセロナで初めてバッハの楽譜を手に入れとき、その楽譜はこの版だったそうです。
面白いのは、他の写本にはない速度表示があること。一番プレリュードはアレグロ モデラートです!
Comments are closed.