第2番
これはエチュードにしておくのにはもったいないほどの名曲! 調子はチェロがよく響くト長調。
同じ弦でのポジションの跳躍が盛んに出てくる難曲でもあります。
曲の出だしからも感じられるように、ポッパー自身のバッハ組曲第1番へのオマージュなのかも知れません。

第3番
変ニ長調。ハーフポジションを主体とした曲。この曲も同じ弦でのポジションの跳躍が多いです。終わりから2小節前はテ長い音ですが、テンポを見失いやすいので3拍目をしっかりカウントしてから終わります。

第4番
何と嬰ヘ長調。シャープ六つ!しかも出だしから低音域の親指のポジション。 しかし魅力的な転調が散りばめられています。これも印象的な名曲。最後から20小節間は親指の音階的進行が続き、その動きが悪く不安定な場合、最後の音が高すぎてト長調で終わってしまいます。
ハイポジションでの4指の出番が多く、超難しいぞ!

第5番
これはベートーベン第7シンフォニー第1楽章 に出てくるリズムによる楽曲。
弓の先と根本を使い分ける練習のためには最適な一曲。気を抜くと三連符が二連符に近くなりやすいので注意します。
なお、RUNMEL氏のCDでは18小節目や33小節目のフレーズ最後の音がやたらと強調され過ぎていて、聞いていてとても不快。その他の曲でも不協和音からの解決音が強すぎる演奏が目立ちます。全く意味不明。

と、こんな感じでポッパーのエチュードOP73とはショパンのピアノのエチュードと同じ地位、立場にある超大作なのです。
チェリストにとってはまさに試金石。バイオリンではパガニーニのカプリースと同じような立場にある古典から近代にかけての独奏弦楽作品のなかでは傑作のひとつ。