◎其ノ五
ケースを選ぶ

さあ、楽器も弓も揃いました。後は練習あるのみです。でもちょっと待ってください。
チェロにはチェロの家が必要です。
それはケースです。

最後に、どんなケースを選べば良いのか、考えてみましょう。
 
入れば何でもいいと安易に考えている方も多いのですが、合わないケースに入れることによって思わぬトラブルに遭ったりすることは多いものなので、ケースはもっと慎重に選びたいものですね。

まず考えなければならないのはソフトケースにするかハードケースにするかです。
ソフトケースは楽器の安全性からみると不慮の事故に遭うことがとても多く、これを候補に入れることは問題外です。楽器の値段に関係なく楽器を大切にしたいのなら、どんな楽器にも(たとえ安い楽器でも)ハードケースを使うことをお勧めします。 
それでは、ハードケースに的を絞ってお話ししましょう。

最近、チェロのケースは色もカラフルで、いろいろなケースが楽器店を賑わせていますが、昔では考えられないことです。

まず良くないケースとはどんなケースのことでしょうか。
まず、自分の楽器に対して小さ過ぎるケースは良くありません。容積が少ない場合、チェロの裏板にケースが触れ、夏場になると楽器の塗装面がケースに張り付いてしまい、ケースに受けた衝撃はまともに楽器に受けてしまうという重大な事故に繋がる可能性もあります。また表板に弓が当たり、弓の跡形が付いてしまうこともありますが、これはとても多いことです。
また軽さだけを求めたケースも良くありません。このようなケースは長年の酷使にも耐えられないし、楽器の安全性にも問題があります。
良いケースは全体的に容積が多く楽器との接触面ができるだけ少ない物です。ネックとエンドピンがしっかり固定され後は数ヶ所の点で楽器を支えられる物が良いケースです。従ってこのようなケースは安定性があります。
弓をマジックテープで留めるようになっているケースも避けましょう。すぐにテープが駄目になって使えなくなります。

最近、中国製の軽くて安価なケースが出回っていますが、蓋の閉じ具合や金具の強度に多少の不安があります。
以上のように楽器の安全性を考えるとチェロのケースはある程度重く、高価にならざるを得ません。また大切なチェロのことを考えるのなら、少々の重さや値段の高さは我慢するべきではないでしょうか。

終わり