私は大学時代、チェロのレッスンといえば明けても暮れてもゴルターマン の チェロ協奏曲ばかり弾かされておりました。またそのレッスンも教授の都合で休講が多く、その結果、その頃の私のチェロ演奏技術は今から思うと随分と不確かなものだったと思います。
そしてそのまま大学を卒業し、それと同時にプロオーケストラの世界に放り込みこまれたわけです。
学生時代アルバイトでヴィエール室内合奏団(関西フィルの前身)やモーツァルト室内管弦楽団などで弾かせて頂いた経験もありましたが、自分の技術は当時まだまだアマチュアに毛の生えたような程度のものだったと思います。とにかくプロオーケストラは忙しく、次から次へ曲をこなさなければなりません。とにかくやっつけ仕事の連続。弾けない所は誤魔化してでも。とにかく必死で食らいついていくしかないのです。そうした環境に疑問を感じつつ、日々悶々と過ごしていました。
次第に、この辺でもう一度自分を見つめ直すべきなのでは、と考えたりするようになりました。
しかし目の前にあるのは厳しい現実ばかり。色々と悩んだ末、家族の理解と協力もあり、色々な縁もありスイス留学にこぎつけたのです。この時はとてもタイミングが良く事が運び、今から思うと、何故かスイスに引き寄せられたような感じでした。
今ではその頃色々助けてくれた家族や多くの方々には忠々感謝の気持ちしかありません。