“ダスオケ”
高校生にもなると、やはり将来のことが気になりはじめます。
それまで漠然と考えていたのはまずオーケストラに入ることでした。しかし実はプロオーケストラにフルートで入ることは至難の技なのです。なぜなら大きなオーケストラでも最大4名、地方のオーケストラでは2名、ということが多いです。大体他の木管楽器も同じような感じです。木管楽器2名ずつの編成の場合、金管楽器はホルンは4名、トラムペットは2名、トロンボーンはテナー(アルト持ち替え)が2名、バスが1名、チューバが1名。これがシンフォニーオーケストラ基本の形態で2管編成といいます。バイオリンのように20数名いるということは有り得ません。したがって、そこに入り込むのは並大抵なことではありません。どこのオーケストラでも席が一つでも空けば、それを目指して一度に数十人もの人がオーディションを受けに来るのが普通です。
最近では日本のオーケストラも海外からも団員の募集をしています。日本のオーケストラにもずいぶん外人が増えたと思っている方も多いことでしょう。音楽界では世界的に慢性的な就職難です。
ドイツのショットという出版社から出ている“ダス オルケストラ”(通称ダスオケ)という音楽雑誌には世界中のオーケストラの団員募集要項が載っていて、とても面白いですよ!大きな楽器店や楽譜店で手に入ります。以前にも同誌を見ていると、たしか南アフリカのオーケストラだったと思いますが、チェロとギターを持ち替え、というのがありました!?いったいどんなオーケストラなのでしょうか?
以上のような事情があり私のフルートの技量ではオーケストラに入り込むのはとても無理と早急に判断し、チェロ奏者になる道を選んだのです。人生において決断は早ければ早い程いいという場合があります。つまらない未練にしがみついた結果、チャンスを逃してしまった、ということは結構多いものです。
幸い私にはそのような未練はありませんでした。演奏家として活動させていただいている現在、結果としてその時の判断は間違っていなかったのです。
実際オーケストラでチェロ奏者を募集するのも大抵一度に一名か二名ぐらいのもので、それなりに難しいのですが、フルートに比べるとオーディションに受かる確率は遥かに高いことは確かです。
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