◎3 駒(ブリッジ)について

チェロの駒には大体4種類あるのはご存知ですか?
日本で最もよく使われるのはフレンチタイプ。外見は全体的にどっしりとしていて、脚の長さも長からず短からずといった感じです。この駒は厚さを薄く削るよりも少々厚めの方が豊かな音がして楽器の個性が際立ちます。この駒はストラドタイプなどの表板の膨らみが少ない楽器よりも、膨らみが多い楽器の方がよく合う傾向にあります。
次によく使われる駒はベルギータイプです。日本ではフレンチタイプに比べると使っているプレイヤーはやや少ないようですが、スイスやドイツのプレイヤーは大抵このタイプです。脚がフレンチタイプに比べるととても長く、シャープな音色が特徴です。薄目に削った方がこの駒の個性が出しやすいと思います。
次はバウシュタイプといわれる駒。脚はバイオリンの駒のように短く、面積はとても広いです。昔は時々見かけたものの、今ではまったく見なくなりました。私も使ったことがありません。カサルスがこのタイプの駒で弾いてる写真は見たことがありますが。
四つ目のタイプは、フレンチとベルギータイプの混合形。二つの個性を兼ね備えているので使いやすいですが、少々“どっちもつかず”になりやすい傾向がありますね。

◎次に駒の扱い方についてお話しします。毎日チューニングをしていると、弦が低い方や高い方に引っ張られ、どうしても駒が曲がってきます。特にアジャスターだけでチューニングしているとその傾向は強くなります。アマチュアや女性のプレイヤーに多く見受けられます。一旦曲がってしまうと駒に曲がった癖がつき元に戻らなくなります。こうなると素人では簡単には修整できなくなり楽器店へ行く羽目になります。良心的な職人なら熱と水分を使いすぐに直してくれますが、金儲け主義的な職人にかかると駒をすぐに取り替えて高い金を請求してきますから、良い職人と知り合うことがとても重要です。
そうならないためにも駒は毎日こまめにチェックしましょう。私は小さなメジャーでいつも同じ弦長かどうかチェックしてます。たった1ミリちがっただけでもかなり音色には変化を及ぼしますので、いつも最高の状態で弾きたい方は是非メジャーをお持ちになることをお勧めします。
駒を修整するときは駒の脚の位置が変わらないように脚の先をしっかり支え前腕を楽器に固定して上方にゆっくり力を加えます。決して駒の上部だけ持って動かさないように!駒を倒して楽器を壊します。

つづく