トーン・ハレ

ついヴェーゼンドンクの館に長居してしまいました。
これから再びツューリヒの街中に戻りましょう。
すぐ近くに国鉄のエンゲ駅がありますが、そこから電車に乗れば一駅で中央駅に着きます。しかし私達はぶらぶら散歩しながら市内に戻ることにしましょう。近くのエンゲ教会の大きなドームと特長がある高い塔が見えてきました。その前がエンゲ駅です。半地下の薄暗い駅ですが、雰囲気があります。
その前のゲネラル・ヴィレ通りを湖に向かって下っていきましょう。

再び私達はゲネラル・ギザン湖岸通りに戻ってまいりました。
ここで先程私達は訪れなかったコンサートホール、トーンハレを改めて訪れてみたいと思います。ゲネラル・ギザン湖岸通りを湖を右に見ながら街の中心に向かって進むと、左側にベートーべン通りがあります。その角がトーンハレです。
外見は質素なこのホールは、湖に面しているのですぐに見つかります。外観の質素さとは裏腹に、内部は木をふんだんに使い、天井画やシャンデリアなど贅を凝らした造りになっています。それだけ見るのも価値があります。音響もシャープさと柔らかさのバランスがとても良く、ヨーロッパでも指折りのコンサートホールの一つです。
19世紀後半に建てられたこのホール、こけら落としではブラームスが指揮をしたそうで、ロビーには彼の像が立っております。このホールの常設オーケストラは世界的に有名で、日本にも度々来ていますから演奏会を聞いたことがあるという方も多いことでしょう。このオーケストラには過去、有名な演奏家が在籍していました。例えばフルートのオーレル・ニコレやアンドレ・ジョネ、オーボエのハインツ・ホリガー、チェロのクロード・シュタルクなど。ヴァーグナーが“ジークフリート牧歌”をルツェルンで、妻コージマの33回目の誕生日のために作曲し、サプライズとして自宅で初演したのも、このオーケストラのメンバーでした。1980年代後半、指揮者の故若杉弘氏がこのオーケストラの常任指揮者に就任し、話題になった事を覚えておられる方も多いと思います。
時間があれば、是非コンサートを聞いてください。コンサートは常にやっています。ホール入口はリマト川の方向にあり、いつも空いています。入った所にチケット売り場があり、前売りチケットを買うことができます。コンサート情報はホールの他、街のあちこちにある掲示板で簡単に調べる事ができます。前売り券は楽器店でも買う事ができますが、当日券は“アーベントカッセ”といってホールの窓口でしか買う事はできません。開演2時間ほど前までにホールのチケット売り場に行ってみましょう。運が良ければ、話題のコンサートが安い値段で聴けるかも知れませんよ!チケットの買い方はオペラハウスも同じです。
ホール内部には柱が何本も立っているので、これは安いと思って飛びつくと、買った席が柱の陰で舞台が半分しか見えない、ということもあるので注意が必要です。
しかし座席表もあるので確認は可能です。たとえ舞台が全部見えなくても、このホールは音響が良いので、音だけでも十分楽しめます。私も昔、柱の陰の席で沢山の演奏を聞かせていただきました。