世間では、新型コロナウィルスの発生から一年を過ぎた今も、収束どころか緊急事態宣言もいつ解除されるかわからない状態が続いています。

しかし、そんな暗い気分に落ち込んでいる暇はありません。なん  とか音楽の力で免疫力を高めたいものです。

さて、私は各生徒に、どのような教材を与えるか、日々研究しておりますが、場合によれば、自分で楽譜を書いたり、適当な楽譜を見つけるため、楽譜店に足を運ぶことも日常のことです。

今回紹介しますのは、添付の写真にもありますように、ロバート リンドレーのエチュード作品15です。

この楽譜は2019年にベーレンライター社かEffect_20210128_190159ら出版されました。

リンドレーは1776年生まれのイギリスのチェロ奏者。彼はオペラハウスのチェロ弾きとして活躍し、コントラバスの名手、ドラゴネッティとデュオを組んで名演を繰り広げたそうです。

現在、リンドレーの名前はドッツアウアーやデュポールほどには知られてはいませんが、室内楽やエチュードなどに、趣味の良い作品を残しています。

まず、この作品15のエチュードは、1番目から複数の弦を同時に弾く、いわゆる重音奏法の練習から始まります。重音奏法は、自然なポジション移動、きれいな音程、正しい運弓及び弓圧の習得には欠かせないテクニックです。楽譜を見ていただいてもわかるように、それほど高度なテクニックは要求されてはいません(後の方では、かなり難しいものもありますが、)。

まず、ポジション移動で見てみると、とても旋律が優しく趣味が良い。テンポもゆったりしていて、ポジション移動を味わいながら身につけられる。ボウイングの面でも、ゆったりしたテンポの重音奏法は理想的な弓圧を体感するのには最適なのです。この場合、的確な指導が絶対必要となります。

この作品の程度としては、ドッツアウアー113のエチュード第1巻を終えた生徒には十分対応できる難易度ではないでしょうか。

さらに、ドッツアウアー第1巻では出てこない、中ポジションや親指のポジションにまで及んでいますし、それらのテクニックに自然なかたちで入っていけるよう、丁寧に作られています。

このエチュードをある程度進んだ生徒にはフランコムの作品35のエチュード、同じくフランコムのカプリース、メルクのエチュード、デュポールの21のエチュードなどを適宜与えれば良いと思います。

又は、それらのエチュードをメインに、リンドレーのエチュードを併用しても良いでしょう。

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