◎ 中ポジションといえば、普通、第五、第六、第七ポジションを指します。この時、左手の形はかなり不安定となり初心者にとってはとても習熟に手間取るポジションでもあります。
その手前の第四ポジションは左手の形ではそれより低いポジションと同じですので低ポジションとして捉えられますが、第四ポジションの指の置き方次第で、それ以降のポジションの弾き易さが決定付けられてしまいます。ですから私としては中ポジションの領域に入れても良いと考えています。いずれにせよ低ポジションと中ポジションの境界線、橋渡し役としてどちらの領域のポジションとしても捉えられることが必要でしょう。

まず中ポジションの最大の難しさとして、第五ポジションから指の順番がバイオリンの指順と同じになることがあげられます。つまり例外はありますが、低ポジションでは隣同士の指は半音、全音は二つの指で押さえましたが、このポジションからバイオリンと同じように隣同士の指が半音も全音も押さえることになります。
ちょうどこの第四から第五ポジションの周辺はネックの付け根や楽器の肩部分に位置し、それが壁となり、左指が伸ばし辛く弦を押さえ難いので、音響的にも音が薄くなりやすくなります。特に手が小さい人にはこの壁をいかにスムーズに乗り越えられるかがチェロ上達の試金石ともなるのです。

第五ポジションにおいて初心者に最初に立ちはだかるのは何と言っても指の形でしょう。1と2の指が全音の場合、どうしても拡がりにくいのです。
更に1、2、3の指全てが全音ともなれば指が届かずどうしても音が取りきれないこともあります。そんなときは1指の付け根の関節を少し下げる、または指の角度を変えてみるなどいくらでも解決の方法はありますので何が悪いか先生に相談してみましょう。とにかくこの第五ポジションをいかに越えるかが高いポジション、つまり親指のポジションをいかに確実に弾けるかにかかっているのです。
次に一般的、基本的な親指ポジションに移行する境界線にあたる第七ポジションの弾き方を考えてみます。
このポジションはまだ一応親指はネックに置かれたポジションですので、練習として初めは親指をネックの付け根の端っこに置いて弾きます。しかしいろんな曲において第七ポジションはそのまま親指ポジションに移行することも多いものです。もうひとつの練習方法としてハ長調音階最後のラシドの音を第七ポジション1、2、3で弾く時が、その時すでに親指を弦上に上げる方法をとります。その前の第四ポジション、ミファソを1、2、4で弾く場合はソの音を弾き終えた時点で親指を弦上に上げます(弾き終えた1、2、4はそのままで)。そしてそのまま手は第七ポジションになめらかに移動させるのです。この方法に習熟しますとネックから親指ポジションへ移る時の抵抗感はぐんと軽減されるでしょう。

以上、奏法を文章で説明するのは非常に難しくてややこしくなってしまいましたが、実際レッスンで弾いてみせたりすると、なあーんだそうだったのか、と簡単に理解できることはとても多いものです。

中ポジションの教材として私がお薦めするのは、Lick MoonyのPosision Pieses for Cello Book Ⅱ です。
これは単なる機械的な指の訓練だけではなく二重奏になっていますので楽しく練習できます。
また、とても効果的に構成されているので独学の方にもお薦めできます。

終わり