去る10月30日はピアニストの中牟田豊子さんの演奏会を聴きに行ってきました。
中牟田さんの古稀を記念する演奏会でしたが、とても素晴らしかったです。
中牟田さんはドイツにも留学され現在は関西を中心に活発に活躍されています。
その優しい音色はニュアンスに溢れ、音楽に対する情熱は聴くものを圧倒します。
 
当日のプログラムはシューマンのヴィオラとピアノのための「おとぎの絵本」Op.113とブラームスのピアノ作品集Op.118というロマン派の二大傑作。
ヴィオラは俣野ゆみさんが演奏されました。
シューマンのおとぎの絵本はヴィオラとピアノの作品としては超大曲です。
そのお二人の力みのない演奏は聴く者を安らぎの時間へと誘ってくれます。
ブラームスの作品118は言わずと知れた晩年の傑作。
ブラームスということで重厚さのみを追及した演奏が多いなか、今回の演奏は本来作品が持つ静けさが浮き彫りにされ、多くの音に包まれてはいるのですが、そこにあるのは静寂の世界。
予定のプログラムにはなかったのですが、一曲目に俣野さんのヴィオラ演奏でバッハの無伴奏チェロ組曲第一番プレリュードが演奏されました。これもとても良かったです。
元々ヴィオラのために書かれた曲?と思えるような自然な感じで、(バッハは元々ヴィオラが得意で無伴奏チェロ組曲もヴィオラで作曲されたのでは、という説もあるそうです。)私もあのような軽やかな響きで無伴奏チェロ組曲が弾けたら、と感じるさせる演奏でした。
 
中牟田さんは「室内楽の環」という若いピアニストを中心とした演奏団体を主宰されており、私もその活動に参加させておりますが、そのうちベートーベンのチェロソナタなど演奏させていただく機会があれば、と楽しみにしております。KIMG0008KIMG0009