◎其ノ七
続、“ボウイングを考える”

次に弓の持ち方について私の考えを少しお話ししましょう。
弓の持ち方についてまず言えることは弓の重さやバランス、個性、または弾く人の指の長さなどの構造によってそれぞれまったく異なります。これが絶対正しいといわれる弓の持ち方など存在しない、ということです。
多くの生徒を教えてきた経験上、人によってある程度の身体的傾向があると感じることが多いので、その辺をまず説明します。
弓を持つということは物を持つ、掴む、摘むという基本的な動作に過ぎません。
何か特別な動作をすると深く考え過ぎない方が結果としてはうまくいきます。
まず最初に、コップをあなたはどうやって持ちますか?
指の先の方で軽く、それともしっかりと握ったほうが安心ですか?
または鞄を持つ時、取手は軽く指先で、またはしっかりと握って持ちますか?
またあなたが握手するときしっかりと相手の手を握りしめますか?それとも軽く?
全体において、物を持つ時あなたは小指の方にギュッと力を入れますか?
それとも 人差し指と親指の輪を中心にして軽く持ちますか?(人差し指方向に力のバランスの重心がある)
全体的にしっかりと持つまたは握るという人は弓も中指、薬指と親指でしっかり“深く”持ったほうが、肩から手に至る動きが弓に伝わりやすいと思います。
何でも軽く持つという人は、弓も浅く持ち、弓先の方向人差し指にバランスを置く持ち方をすると上達すると思います。

つづく