◎其ノ八
続、弓を持つ
次に右手をグーの形に握りパッと開きます。又は鉛筆やお箸を持つ時の親指の形を思い出して下さい。
その時、親指が反り返るという人は弓を保持する時、親指が丸く持てずに先生から注意を受けたと思います。
確かに親指を伸ばして弓を持てば指のクッションが効かず手首が固くなってしまうということもありますが、親指以外の指を柔軟に保つことによって、いくらでもクッションの働きが代行出来るので親指が逆に反り返る人を私は無理に矯正をすることはしません。大切なのは指のしなやかさだからです。丸くても指はガチガチに固い人はいくらでもいますから。
特に幼児(大体7才以下)の場合、筋肉は未発達なので弓の持ち方は長い期間をかけて少しずつ作りあげていきます。初めは弓が真っすぐ弾けることのほうが先決だと考えています。幼児に対してバイオリンではよくフロッシュ(弓根本にある毛留箱)の下に親指を当てて弾かせることがありますが、チェロの場合、楽器の角度上の問題もありますので、私は少し太めの飴ゴムのチューブを弓元に装置して弾かせています。この場合飴ゴムの柔らかさ太さが重要になります。太い物を持つ方が細い物を持つより筋肉の負担は軽減されます。
因みにカザルスはコンサートで多忙を極めていた時、この方法で親指の疲労を解消していました。彼の場合はコルク片でしたが。
以上のように身体の動かし方には各自独特な傾向があります。
しかし、これも弓の重さやバランスでかなりの影響されますので、弓の特性をしっかりと把握し注意深く自分の弾き方を観察してみてください。また自分の身体の特性を知るということも上達には欠かせない要素です。
おわり
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