希望の光
広響に入団して半年も過ぎた頃には、私自身すでに広響での活動には限界を感じ始めていました。
とにかくもっとオーケストラの名曲を沢山弾いてみたい、オペラやバレーの演奏もやってみたい、欲望は尽きません。でも現実は先がまったく見えない。大阪に戻ってフリーにでもなるか、と悩んでおりました。
ちょうどそんな時、福岡の九州交響楽団からエキストラのオファーが来ました。九響はその頃すでに多彩な活動で関西でも名は知られておりました。コンサートマスターは日本を代表するバイオリニストの一人“岸辺百百雄氏”常任指揮者はドイツ人の“フォルカー レニッケ氏”。演奏する曲も広響とはまったく違うし、レパートリーも豊富。正団員数も広響の倍以上ありました。演奏会の回数も広響とは桁違い。待遇も広響より良く、年二回ボーナスも出るし各種手当もあり、健康保険や厚生年金もしっかりしているので、将来性があるなと羨ましく思っておりました。
メンバーの表情や雰囲気もとにかく明るい。皆生き生きしている。喜びをもって演奏しているように見えました。
福岡の街も広島とは違う。とにかく活気があります。そして食べ物が美味い!その後福岡へ行く度それまでかなりな味覚音痴、偏食だった私も初めて食に目覚めていきました。
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