◎其ノ三
“まいど”

ビールでほろ酔いになった私達は、放出駅前を離れ、中高野街道を北に向かって少し歩いてみましょう。
酔い醒ましとしては最適の距離です。
今から向かうのはJR徳庵駅の方向です。

トコトコ…(歩く音)
やがて道は広いバス道路に出ます。この道は通称八軒道路と呼ばれ、東西に真っすぐな広い道。左(西)の方向へ真っすぐ行けば大阪ビジネスパーク、天満橋を経て市内の中心部に至り、右へ真っすぐ行けばJR徳庵駅(放出の一つ先の駅)です。
今回私達は右へ進みます。
JR片町線は放出を過ぎると方向を大きく北東に変えるので、徳庵まで電車では結構距離がありますが、放出からは線路のカーブ、西の内側を行くのでそんなに遠くはありません。

やがて左手に日枝神社が見えてきました。
20分位歩いたでしょうか。

日枝神社の手前の道を左に入ると左側に小さな飲み屋があります。
ここが今日私達が三軒目に行こうとしている“まいど”という炉端焼きの店です。

ちなみに、この“まいど”という意味は大阪の言葉で、“まいどおおきに!”を略したもので、標準的な言葉でいえば“毎度ありがとうございます”ということです。
でも、標準的な言葉でも普通、略して“毎度”だけ言うということなんかないですよね。
大阪人はせっかちだからでしょうか(大阪弁で“いらち”とも言います)、なんでも略してしまいます。
普段、大阪の商売人はよほど時間に追い立てられているのでしょう。ですから挨拶も“まいど!”と言い合うのです。

以前、関西フィルハーモニーの練習所がこの先JR住道駅の近くにあった頃、よくエキストラで呼んでもらっていた私は、練習帰りによく途中下車してこの店に来たものです。

さあ、店に入ってみましょう!

続く