◎其ノ四
カップ麺は美味いかマズいか? 続き

でもファストフードしか知らないのでは困ります。味覚や精神的豊かさ、心の癒しのためにも、時には手の込んだ料理も食べるべきなのです。

これは音楽でもまったく同じで、ハードロックが最高!シビレルぜ!と日頃吠えている兄ちゃん達がある日モーツァルトの弦楽四重奏曲を聞けばどのようにリアクションをとるでしょうか?
エッ何これ? 何も聞こえないじゃないか!
となるでしょう。
普段、耳の鼓膜を破るほどうるさいハードロックに馴染んでしまった耳はモーツァルトの繊細さを聞き分ける能力が麻痺してしまっているのです。時には静かな環境に身を置き微かな物音を聞き分けることは心身にとってもとても大切なことです。そして見えてくる静かなものだけが持つド迫力を体感してもらいたいものです。静かなる迫力! 大音響や叩きつけるリズムだけが迫力では決してありません。
いつもうるさいということは感情の起伏がゼロということです。反対にいつも小さい音というのも感情の起伏は感じられず心地好くはありません。変化あっての感情です。
規則的なリズムが延々と続くということは止まっているのとまったく同じなのです。
変化があってこそ芸術。変化に富んだクラシック音楽も聞かなければならないのです。
また反面、日頃クラシック音楽ばかりやっている私にとっても時々ジャズなど全く違ったジャンルの音楽を聴くことでリラックスもしますし、反対にクラシックから離れることによって、いつもやっているクラシック音楽がより素晴らしく新鮮にも感じられるのです。また愛おしくも思うのです。
音楽の立場でも自分のやろうとしていることを知ろうとするなら、一度そこから離れてみるのが良いでしょう。それによって新たに発見できることは実に多いはずです。

日頃チープな食事ばかりとっている人も時には作る人の気持ちのこもった手料理を食べれば、人の真心を感じ精神的にももっと豊かになれるのではないでしょうか?

音楽にせよ料理にせよ、お互いのジャンルの立場を尊重しあえば、もっと心が豊かに世界も広がるのではないでしょうか。
これは半分私自身に対して言っているようなものですがね。

終わり