◎ タイプ 2
石橋を叩いて渡るタイプ
このタイプは良く言えば慎重で妥協を許さない、悪く言えば融通が利かない性格だとも言えます。
応用が全く利かない、という事もあるので色々な曲を次から次へと弾かせるとパニックに陥ることもあります。しかしこのタイプは同じ曲を粘り強く何年もかけてじっくり仕上げるのが得意ですので、例えばバッハの無伴奏チェロ組曲などを仕上げるのにはある面では適しているかも知れません。
初見演奏などはとても不得意で嫌がることが多いですね。(不得意だと自分で決めつけていることがほとんどですが)
初めは不得意で上手くいかないことが多いですが、一度慣れてコツを掴むと、その慎重な性格から素晴らしい力を発揮することもあります。初見には慣れと目の良さ(動態視力の良さ)が必要なのです。
こんな生徒には、テクニックの説明などできるだけ理論的に教えます。フィーリングで教えるとうまく通じないこともあるのです。
表現の面でも例え話などを引き合いにできるだけ合理的に理屈で説明するように心がけています。
しかし、オーケストラなどアンサンブルをやれば自分のペースには誰も合わせてくれません。皆のぺースに乗り遅れないようにするためにも、早く曲を仕上げる習慣を身につける必要があるのです。レッスンではうまくタイミングを見計らい、じっくり弾き込む曲と、サラっと弾き流す曲とを使い分けて曲を決めなければなりません。その点で初見の練習の効果は絶大です。レッスンではデュオの初見が楽しく、音楽的な興味を失うことはありません。
演奏にはある種、ひらめき(インスピレーション)のようなものが絶対に必要です。その点からみても初見力をつけることは演奏にとってはとても大切なのです。初見演奏が楽しみ、という気持ちに仕向けなければなりません。
ちょうど、面白いマンガや小説の次のページをめくるようなむねがワクワクするような気持ちになることができれば最高です。
本来、同じ曲を毎日同じテンポで同じ解釈、同じ指遣いで弾くなどありえません。音楽は生き物であり生もの。変なこだわりが曲の鮮度を落とすこともあります。握り寿司でも何分も握っているとまずくなるでしょう?あれと同じです。
このことからも分かるように、音楽においても瞬間的に状況を把握し適切な判断を下す習慣が必要なことは理解いただけると思います。
このような精神的な瞬発力を同時に身につけることができれば、冷静沈着なこのタイプの生徒はとても良い演奏者に育つことができます。
続く
Comments are closed.