◎其ノ五
レコードとCD、続き
そのコンサートはブラームスのピアノ協奏曲を二曲弾くというもので、凄い演奏会でした。子供の頃、レコードで聞いたイメージでは録音の時代や曲にもよるのでしょうが、彼の演奏は優しく、繊細なものでしたが、実際の演奏ではロマンチックではあるもののとても力強くドイツロマン派の残照を感じさせる凄い演奏でした。
このように実演とレコードやCDなどで商品になった物とではかなりイメージに隔たりがあります。ですから私は録音された物はあまり信用しないようにしています。だって録音などただの抜け殻にしか過ぎないのですから。
小学生の頃買ってもらったリヒターハーザー氏のレコードは今も大切に保管しています。
◎ CD
その後、時代はレコードがらCDに取って代わりました。私も沢山のレコードを持っているのにもかかわらず、時代の波に乗り遅れないように、CDプレイヤーは買いました。
レコードに比べてCDは保管するスペースに関しては少なくなりましたが、なにか中途半端な大きさで、結構邪魔になるものですね。またCDはどんな機械で聴いてもそれほど音質には大差がなく無難な音で、レコードプレイヤーのように楽器的な要素は少ないと感じます。レコードプレイヤーは物によっても確実に音質は変化しますし、設置のしかたによっても全然異なります。
その点、CDはあくまで便利なメモ程度の記録のためのツールであり、それでクラシック音楽を鑑賞するという対象にはなり得ないと思います。
便利さを取るのか、質の良さを取るのか、現代は便利さだけが主流の時代です。良質なものを得ようとすれば、面倒でもそれ相応の手間隙をかけなければなりません。なにか芸事にも相通ずるものがありますね。
終り
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