◎ 4 腕と指

先の章では、難しいのは親指のポジションそのものではなく、ネックのポジションから親指を親指のポジションへと移行させることが難しいのである、とお話ししました。

ポジションとはそんなものです。目的のポジションを取る道程こそが難しいのです。
ポジション移動の基礎として、目的のポジションへと誘う動作が必ず必要であるということは皆さんご存知でしょう。それは1の指の動きであったり目的音の指であったり…。
しかし意外と忘れているのは親指を含む腕の働きの重要性です。
腕から親指のスムーズな動きなくしてポジション移動は有り得ません。

指先だけで音を探りながらポジションを移動させて弾くと(これではもはやポジションの意味を成しませんが)、どうしても指先だけで音を取ることになり、ポジションが定まっていないので音程も定まらず、音色も悪く無意味なポルタメントがかかる事にもなり、音楽的にとても悪趣味なものになってしまいます。これは独学で弾いている人に多く見られます。
この弾き方で高度な曲を弾くことは困難でしょう。

正しくポジションを取るには、いつも肘から指へ至る、ある一筋の滞ることのない動きや流れが絶対に必要なのです。
この流れが絶対中断されてはいけません。どんな隔たったポジションへ移動する時もそうです。
そして、その大きな動きに指が連動して音を取る、と考えるべきです。

しかし、話を進めるため、ここではネックのポジションから親指のポジションへの移行に的を絞って話します。
第4から第7ポジション、いわゆる中ポジションをいかに楽に乗り越えれば良いのか。
これは基本的に先程から言っている親指の働きが重要なのです。

まず、親指をいかにスムーズに弦上に上げるかが課題となります。
次に、このことについてお話しします。

続く