上村先生

それまでにも弦楽器に強い興味を持っていた私は、高校入学の年から私はチェロを始めました。
何故それだけ興味があるのなら最初からチェロをやらなかったのか、と言われそうになりますが、話は中学生の頃に戻ります。

私が通っていた中学の音楽の先生は私にとっては最大の恩人の一人です。いろいろ相談に乗っていただきました。お名前は上村信雄先生とおっしゃいます。
先生は学生時代作曲を勉強されておられたこともあり、オーケストラの楽器はすべて触る程度には演奏出来るのです。
先生には将来、自分は音楽高校を受験したいのだけれど、どういった準備をすればいいのか、ということを相談させていただきました。その時の先生の答は、ピアノやバイオリンで音楽高校を受験する人などみな四歳や五歳ごろから楽器を始めているので君には到底無理である、チェロなら大学くらいなら何とかなるかも、と言われたように覚えています。どうしても高校から行きたいのなら、比較的短期間でも物になりやすいフルートなどどうか、とアドバイスしていただいたのです。
たまたま習っていたピアノの先生のお知り合いにフルートの先生がおられたので、その先生に付いてとりあえずフルートを習い音楽高校を目指すことにした、というわけです。

というわけで、周りの友人など進路について悩んでいた時期、すでに将来の進路を決めていた自分には悩むことなど何もありませんでした。音楽高校受験に落ちる事も考えていません。絶対受かるのだという強い思い込みの世界。担任の先生からは普通の高校も受験することを強く勧められましたが、全くの無視。かくして我が音楽三昧の生活は始まり、人生今まさに天国、ばら色でした。