◎其ノ三
カップ麺は美味いかマズいか?

これは難しい問題です。
でも、はっきり言いましょう! カップ麺は美味いです。正しく言えば、カップ麺も美味いのです、ということになります。

世の中にはよくカップ麺及びファストフード全般に対して、こんなマズいもの食えるかとか、あんなもの食っていると病気になるぞ、などと粋がって暴言を吐く馬鹿な輩がいるのには困ったものです。ファストフードに対して敵対心を抱いているとしか思えません。

ここで重要なのはカップ麺を料理としてどのように捉えるか位置づけるか、またはどのように食べるかが問題なのであって、純粋に美味いとかマズいといった問題とは少し違います。

これは音楽でもまったく同じで、何が何でもクラシック。クラシック音楽だけが最高だ、などと豪語する者の演奏に限ってたいしたことがないということは実に多いものです。
また反対にクラシックなど堅苦しくて退屈、迫力に欠け単なる上流階級のお遊びに過ぎない、と決めつけている者もいます。どちらも間違いです。
要するそれぞれの立場や役割、楽しみ方を理解することが重要だということです。

例えばカップ麺などファストフードだけが最高に美味いと思い、そればかり食べて暮らしている人がいたとします。その人がある日最高の日本食を食べる機会があったとします。はたしてその時、彼にはその最高の日本食が美味しいと感じられるでしょうか? 多分味が薄すぎるなど言って、日本食独特の微妙で繊細な味わいなど感じられないのではないでしょうか。味覚が麻痺しているのです。
しかし、すべての人がいつも高級料亭で時間や金がかかる日本食や高級レストランでフランス料理ばかり食べることなどできません。また毎食手の込んだ愛情たっぷりの手料理(美味いマズいは別として)を食べることも困難でしょう。

忙しくて時間がない時などカップ麺はほんとに助かりますし、温かくて美味しいものです。これにパン一個でもあれば立派な食事ですから。
これはすべてのファストフードに共通して言えることではないでしょうか。つまり美味いのは美味いのです。決してマズくはないのです。

続く