◎ 若い人達へ
成人式の季節ですね!
年の始めに人はその年の抱負などをよく語り合ったりします。
未来に夢を託す…素晴らしいことです。特にこの時期、成人式を迎えた若い方はその思いもひとしおでしょう。
私事で恐縮ですが、歳をとったせいでしょうか、私は昔から希望は限りなく持っていましたが、あまり夢などは語ったりしなかったし、考えることもあまりありませんでした。
今の私も、ただその日、その日のことを考えて精一杯生きるだけで精一杯だと思っています。先のことなど考えてもどうなるかわかりませんし、分からないから人生楽しいわけです。
日々足元を見ながら確実に進むのが肝心。これが夢ではなく希望へと繋がるのです。
大体、夢ばかり追い求めたところで実現できることなど稀ですし、もし人生の終末になってそれが達成されなかった時は自分の不甲斐なさを感じ、不運を嘆き、悔しさというか、空虚感に捕われたりするだけですからね。私の場合、それよりも思いがけず実現できたことを喜ぶようにしております。実はそれは偶然実現できたことではなく、日々の努力の積み重ねがあったからこそ、その成果が導かれたのだと思います。これはなにも年始だけに限ったことではなく、人生の歩み方そのものとして必要な考え方ではないでしょうか。
もちろんそう言う私も長いスパンで計画を立てたりすることもありましたし、現在もそうしています。しかし、それはあくまでも希望であって漠然とした夢などではないのです。とにかく夢は夢。
では、希望とは何でしょうか?
希望とは今後の予定として捉えるべきであって、要求なわけですから、叶えられなければならないものの事です。
それに対して夢とは単なる夢であって、何を夢見ても個人の勝手、漠然としたものを意味します。叶えられるかどうかは不明です。
夢なのですから叶えられなくても気にすることなどありません。
どうも世間的に夢と希望(予定)を混同している人が多過ぎるのではないでしょうか?
そう、夢は夜寝てから見るもの(白日夢もありますが)。夢はあくまでも夢であって実現されるべきものではなく、実現されるのは“希望(予定)”であり、それを元にした“計画”なのです。ですから希望は確実に焦点を絞ることができます。絞り込むことができない物は夢の範疇を脱することはできません。
夢と希望は完全に分けて考えるべきです。
◎ 音楽の場合
これは音楽にも共通した部分があります。
よく人はとにかく曲全体の構成を見極めてとか計画的になどと言います。
もちろんテンポなど困難だと思われる部分をある程度想定して設定したりする必要はありますが、たとえそうしたところで先の事など、どうなるか分からないことが多いものです。
弾き始めた時の自分及び周りの状況次第で、演奏の仕上がりなどどう変わるかわかりません。極端に言えば、今弾いている次の音のことを考えることが先決なのです。裁縫や編物と同じで、一針飛ばして次の縫い目には行けません。次の音を見極めいかにして無事に導いてやるか、その積み重ねが全体を通した良い演奏になるのだと思います。それによって全体の構成や流れも朧げなからにも見えてくるのです。そして演奏が終わった後の余韻の質こそがその演奏が成功したのか又はそうではなかったのかを決定づけるのです。突き詰めると音楽とは最後の余韻、その瞬間のためにやっているのかも知れません。
夢を見るような演奏は大した演奏ではありません。現実的に物事を感じるべきです。
人生も同じ。一針一針、縫い物を縫っていくように確実に物事を進めていくのです。決して次の縫い目を通り越して先には進めないのと同じ事だと思います。
そして何かを成し遂げた後の余韻に浸りましょう。そのための人生なのですから。
皆さん、希望を持ちましょう!夢は寝てから見てください。
今年が皆様にとって良い年でありますように!
終
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