久しぶりに指板を削ってもらいました。職人は勿論、大阪天満橋の山本正男氏。削るのは約8年ぶりです。私のチェロの場合、大体7、8年も使えば限界です(指板の硬さにもよります)。以前はもう少し頻繁に、例えば3、4年で削っていた時期もあったのですが、削ればその分、指板そのものが薄くなってしまうので、最近では指板に多少の溝ができてもなるべく我慢するようにしています。
 
薄くなれば、指板そのものを取り替えてしまえばよいと言う方もおられますが、指板を一度削れば、僅かではあるものの楽器そのものが軽くなります。したがって音色もどんどん変化するわけです。
また、材料そのものも硬さや弾力はさまざま。同じ性質の物はありません。ですから指板を取り替えるなどそう簡単にできることではないのです。一大決心を必要とします。
 
今回はほぼ限界まで使ったので、あちこち弦による溝や爪痕でほんとにボロボロ。
かなりたくさん削ったようです。
そのせいか雑音もなくなり音そのものがかなり明るくなりました。しかしこの先、削り続けると、明るさを通り越して軽薄さに変わっていくのかもしれませんね。少なくともハイポジションでは、弦を押さえる度に指板が沈みこむという事態は避けられないことでしょう。
その時はやむなく指板の付け替えということになりますが、最近ほんとに良い黒檀が少なくなっているそうで、特にチェロの指板のような大きな材料となるとなかなか手に入らないそうです。将来のために、今から良い指板を確保しておこうかと考えています。
 
今回、指板を削ったことを機会に、弦も張り替えました。
弦の銘柄はAとDにラーセンマグナコア。GとCにノーマルのスピロコア。
この組み合わせ、とても良いですよ!
マグナコアはノーマルのラーセンに比べると音色は明るく複雑な音がします。つまり倍音が豊かだということです。特にD線はノーマルのラーセンでは音がこもりがちでしたが、マグナコアではノーマルの音色を活かせて音の抜けを良くした感じがします。
GとCは昔からあるノーマル、つまりクロム巻きスピロコアということになりますが、やはりGとCは最終的にはこの弦になるのかもしれません。
特にG線の暖かさやCの力強さはチェロにとっては切り離すことができません。チェロの弦でも色んな銘柄が次々に出る昨今、行き着くのはこの弦かもしれませんね。
KIMG0854KIMG0856