◎ 4 弦を叩く

チェロの演奏において、音の立ち上がりを際立たせるため、左指は弦をしっかり叩きます。これはカザルスが一般化したテクニックだと言われています。
叩いた後、指を上げる時は軽くはじいて上げます。バイオリンでもソリストには効果的によく使われるテクニックでもあります。
曲の出だしとかフレーズの出だしなど、明確な音質で弾きたい時は初めから叩きます。
最初の音は叩かず次の音から叩く人がほとんどですが、これは不思議です。次の音は叩くのに最初の音叩かないというのは、音色のバランスから見ても不自然で私には理解できません。最初叩かないのなら次の音も叩かない方が音のバランス的には良いと思うのですが…

さて、弦を叩く時に気をつけたいのは、的を狙って叩くということ。ヤミクモに関節から叩いたりすると、パチパチと雑音ばかりが目立ちます。叩くということは音の立ち上がりを明確にするためのやむにやまれぬテクニックであるべきで、パチパチ音を出すことが目的になってしまっては本末転倒です。(そんな人も時々目にしますが。)
あくまでも叩く音は雑音であることを肝に命じたいものです。叩く音が聞こえないことが絶対条件です。
カザルスの古い録音を聞いているとパチパチ音がとても良く聞こえますが、あれは昔の録音機器が悪く、マイクを楽器に極端に近づけて録音したためです。素人が安易に真似るべきものではありません
叩きはじくことが弓の反しの動きと完全に同調しなければならない、ということは言うまでもないことです。
左右の動きがピッタリ同調すると、演奏がとても鮮やかになりますが、少しでもズレると、かえって下手に聞こえます。

終わり