◎ 5 続き

二長調ならD、D♯、E、F♯、G…ですね。
半音階を単なる半音の連なりとして捉えてしまうと、サイレンのような単調な音のずり上がりとなり、表情の乏しいものになってしまいます。常に調性を感じていなけれはなりません。
こんなことありませんか?
上行する半音階の半音の幅をほんの少しでも狭く弾いてしまうと、その皺寄せで音階が行き着いた先の解決音は酷く低くなりますし、半音を広く取ってしまっても同じように解決音は高くなってしまいます。これは半音階に調性を感じていないからこそ起こる結果です。

こんな時の練習法として大切なことは、音階の正規の音階をはっきり強めに弾くのです。つまりハ長調ならC、D、E、F…を強めに弾き、D♯、F♯…は軽く弱めに弾くのです。そうすると正規の音階が浮き上がって聞こえてくるはずです。
また、ハ長調で言えばD♯、F♯…など臨時的に上げられた音には次の音に進もうとする強い緊張感が伴いますので、半音階に調性を感じることができれば次の段階として、D♯やF♯などの上げられた音を強調して弾くというのも音楽的には理にかなっています。実際にはこれら臨時的に上げられた音の方が強い表情を持つということが多いのです。

とにかく音には半音階長音階、短音階にかかわらず進むべき目的音があることを理解できれば音楽がより音楽的に響くはずです。

旋律は長、短、半音階だけでなく、それらが混然一体となって形作られることが多いものに。各音がこの先どこに向かおうとしているかを考える習慣を身につけるだけでも、芸術作品がオルゴールの音のように無味乾燥な演奏に陥ってしまうことを防ぐことができるのではないでしょうか?

終わり