『きょうはあめふりてんきではございません』
これは、真偽は定かではありませんが、昔々ある大名お抱えの天気予報士が考え出した究極の天気予報です。文章は句切り方次第で意味がまったく正反対の意味に変わってしまうという有名な例です。
例えば、『きょうはあめふり/ てんきではございません』と句切って読むと“今日は雨が降ります。晴れません。”という意味になります。
では、『きょうはあめふりてんき/ ではございません』と句切るとどうなるでしょうか?“今日、雨は降りません。 晴れるでしょう。”のように正反対の意味になってしまいますね。
昔、天気の良し悪しは戦の勝敗にとって重要な要になっていたのです。天気の良し悪しには戦の命運がかかっていました。したがって予報士にも首がかかっていたのです。予報が外れれば場合によっては切腹させられる可能性すらあります。
そこで彼ら予報士達がどちらにでもとられるよう、苦し紛れに考え出したのが冒頭の文章なのです。
これと同じことが音楽にもフレージングの問題として当てはまります。音楽では殺されるということはありませんが、音符と音符の句切り方次第で、まったく違った音楽になってしまうという意味では同じです。
声楽作品ではメロディーに歌詞が付いているため理解はしやすいでしょう。しかし器楽作品には歌詞は無いので、演奏者には経験が求められます。最も良いフレージングを探り当てるためにはあらゆる可能性を追求しなければなりません。
これが音楽最大の楽しみの一つでもあるのです。
終わり
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