添付した写真、これはクレンゲルの「テクニックの練習」というエチュードの最初のページです。
この本で私も勉強してきましたし、今でも毎日の指慣らしや耳慣らしのためには欠かせません。
レッスンでも時々使っています。
ではなぜ、必ず、ではなく時々なのか?
それは、このエチュード、弾くのがとても難しいのです。
ですから、生徒に与えても、すぐに脱落するというか、使用をあきらめてしまうのです。なかなか、このような根気のいるエチュードを練習してくれる生徒は少なく。残念です。
確かに音階練習は無味乾燥で退屈することが多いものです。音楽からかけ離れた、単なる課題をこなすだけの練習になってしまいがちですね。
 
しかし、このエチュードをしっかり練習すれば、左手やボウイングがとても楽になるのです。楽になるということは、自分の考えをスムーズに音で表現できるということでもあります。音楽の素材である音階を理想的な形で練習できる、なんと素晴らしいことでしょうか。
 
 
では、実際に使い方を見ていきましょう。
この写真1は第一巻の冒頭、ハ長調2オクターブの音階です。
この楽譜では所々、カギ括弧で囲ってある箇所があります。例えば、C線のファ ソ ラの部分。途中で解放弦0を跨ぐことになります。
 
ここが大切です。
 
他のエチュードに出てくる音階練習では、このような指示は見当たりません。
 
このカギ括弧をどのように捉えるか?
 
ドレミと進んで、ファとラの音を同時に押さえるのでしょうか?
 
もちろん違います。それではソの解放弦が弾けません。
 
ファの音(4指)を押さえ、解放弦0を弾いてから、まず1指を上げ(弦から離し)、ラの音を押さえてから、4の指を離します。
まあ、一瞬ではありますが、ファとラは同時に押さえることになります。これが、カギ括弧の意味であり、これがチェロをスムーズに弾く重要なテクニックとなります。
つまり、ファとラ、三度の共和音が鳴り響くのです。結果として解放弦を経過する音階が豊かな響きと滑らかさをもって進行するのです。
これを、解放弦を弾くと同時に4指を上げてしまうと、響きは得られないし、解放弦が目立ち過ぎるのです。
また、バッハの無伴奏チェロ組曲を弾く時には、最大の威力を発揮します。
 
よく、このような運指では早い音の動きに対応できないのではないかと、疑問を持つ方がおられますが、実際は全くその逆で、各指のバランスがより良く取れ、よりスムーズな音の動きを手に入れることができるのです。さらに、拡張と閉じたポジションの使い分けが明確となります。
 
このエチュードは、さらに音域も広がり、写真2のように音型も変化してゆきます。
 
写真3にあるような三度の練習も高度な曲を演奏するには欠かせませんし、音程感覚を磨くためには、是非毎日練習したいものです。
Effect_20190920_121810Effect_20190920_122527Effect_20190921_085557