◎8 楽器の取り扱いについて
最後にチェロの取り扱い方について少し考えてみましょう。
チェロは普通に持ち歩く楽器としては最大の楽器です。時々コントラバスを持って電車に乗っている人も見かけますが、それはあくまでも特殊なケースですね。
昔の国鉄時代は手荷物切符を買わされたりして大変でしたが、今はそれが無くなり大分楽にはなりました。でも飛行機での移動時など、チェロの持ち運びには相変わらずなにかにつけ問題が多いことには変わりなく、苦労は絶えません。
私は現在、ケースを背中に両肩で背負って持ち歩いています。両手が自由にはなるのですが、上半身が固定され、意外と腰には負担がかかります。
身体にも楽器にも最も良いのは手でぶら提げて持つことだそうです。確かに提げると肩や腰は楽ではありますが、体格の小さい日本人には少し無理はあります。雑踏の中をを歩く必要も考えられますから、日本では肩に担ぐというスタイルは当分変わりそうにありません。
ヨーロッパの体格に恵まれたチェリストがチェロを提げて歩く姿は様になっていますね。ヨーロッパ、特に雪が降る地域のチェリストは雪道で転倒して楽器を壊すことが時々あるそうです。
そんな時、雪道でチェロを提げて歩いてると、いざという時チェロを手から離してしまえば被害は最小で済むわけです。それを背負っ歩いていて、尻餅なんかついたりすると、全体重が楽器にかかってしまうのです。結果はどんなことになるか言うまでもありませんね。そんな理由もあってヨーロッパではチェロを手で提げて持ち運ぶ人が多いのです。
そのほか、どんな時にチェロを壊すという事故に遭うのでしょうか?それは何と言っても、チェロの転倒事故です。バイオリンと違って楽器も重いし、弦の張りも強いので倒せば簡単に壊れてしまいます。その中でも特に多いのが、エンドピンに足などを引っかけられて倒す事故。これなど心がけ次第でいくらでも防ぐことができます。人が通る所にエンドピンを出しっぱなしにしてチェロを置いている人は実に多く、しょっちゅう目にします。チェロを弾かない人にはエンドピンは見えません!面倒でも弾かない時はケースに入れるという習慣を持ちましょう。
バイオリンでも楽器を椅子の上に平気で置いたり、床に置いたり、時には平気で楽器を跨いだりしている人を見かけますが、見ていてほんとに呆れて言葉を失います。ブロでも多いのにはびっくりさせられます。
私は楽器の正しい取り扱い方を教えるのはある程度先生の役割、責任でもあると考えております。
自分の楽器だけでなく他人の楽器も大切にする、これは楽器が上達するための最低条件です。これはあらゆる人や物に対する思いやりにもつながります。
チェロの部品の話 完
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