私がいつも自分の練習で必ず日課としてやっているのが、各生徒が今現在抱えている問題についての解決策を考えたり、それについて必要な今後のレッスンの計画を立てることです。

つまり、なぜこの生徒はこれが弾けないのか、何に悩んでいるのかを考えます。そして、この問題を抱えている生徒にはこの課題を、あの指使いが出来ない生徒にはあのエチュードの何番を、などと実際手持ちの楽譜を引っ張り出してきて考えるのです。

自分でも生徒の弾き方を真似たりして(実際、弾けない生徒の弾き方を真似をするのは意外と難しいこと。しかしそのことによって発見できることはとても多いのです!)、なぜこんな弾き方になるのか、なぜひけないのか。さらに、今、この生徒に必要なものは何かと考えたりしていると、いろいろなものが見えてきたりします。
それは音楽的な問題はもちろんのこと技術的な課題であったり、時には肉体的、つまり器械体操的な問題、はたまた精神的な問題であったりすることもあります。
生徒に見る難しさがその作品の最大の個性であったり良さであり、言いたいことであることがほとんどです。

でも、そんなこと言ってはいられません。すぐに問題が解決するかと言えば実際はそんな簡単にはいかず、どう解決すべきか何日も何ヵ月も考えあぐねることなどざらです。
まあ、そんなに簡単にいく問題ならレッスンの時すでに解決しているでしょう。

次に実際のレッスンで見ていくと、
私のわずかな経験から言えることですが、初心者で実際に多いのは、今現在やっていることばかりに注意が向けられ、過去にやったことを忘れているということが多いものです。

そんな時にはすかさず前の段階に戻ることを心がけています。そういったことをせず前に進むばかりだと必ず進歩が止まってしまう時期が訪れます。

そんな時、前にやったことをそのまま繰り返してやらせるだけでは生徒のやる気をなくさせてしまいます。
それと同等のレベルの違った曲を与えるのです。
その課題を探し出し与えるのは本当に大変ですが、常に手持ちの楽譜を、この曲にはどんな課題が含まれているか、あの曲にはどんなことが書かれているか頭の中で常に整理していればそんな難しいことではありません。
とにかく引き出しをたくさん持つことです。