宮崎県にて

帰国後大阪に戻ってきた私はフリーの奏者として関西を中心として活動することになりました。しかし九州には以前からの縁もあり、特に宮崎県では度々演奏する機会をいただいておりました。当時の宮崎県庁文化課、課長さんで大阪市出身の“串間実さん”には九響時代からずっとお世話になり、私が大阪に帰った後も常に手紙で連絡を取り合っておりました。氏の発案で宮崎県の津々浦々をチェロ一本で回るというツアーもさせていただいたこともありました。演奏するのは大抵、公民館、体育館、図書館など。時によってはスナック、居酒屋、個人宅でも弾きました。都城市庁舎の市長室でもやったこともあります。とにかく伴奏も何もありません。ひとりでコンサートを成り立たさなければならないのですから大変です。どうしても伴奏が欲しい時は自分でピアノ伴奏を弾いて、それをカセットに録音しそれに合わせて弾くということもやりました。
そんな時いつも一緒だったのは山本作のチェロただ一本。