其ノ九
美味い物

話は博多に戻ります。博多で美味い物といえばやはり豚骨ラーメン。安くて手軽。近頃では関西他全国規模で博多ラーメン店が増えましたね。しかし本来博多ではラーメンは安い食べ物。港湾労働者達が忙しいなか短時間で食べた、いわばファストフードなのです。私が福岡にいたころは港の近くには沢山のラーメン屋がありました。有名な長浜ラーメンもそうです。
しかし大阪あたりで食べる博多ラーメンは高いですね!店もレストランという感じの店が多いです。替え玉などしてもっと気軽に食べられたらいいなと思います。ちなみに替え玉とはスープだけ残して麺だけをお変わりする博多ラーメン独特の食べ方。この言葉もすっかり全国区になりました。
全国的に有名な“〇〇堂”、この店は博多ラーメンを全国区に押し上げた店として有名ですが、地元の人は〇〇堂のラーメン一杯八百円や九百円は高すぎるので行かないという人が多いです。毎日長い行列を作っていますが、並んでいるのは大抵観光客です。
やはりラーメンは安くてなんぼのものですよね。また気軽さが大切で、並んで食べるほどのものではないと私は思っています。
博多にはまだまだ美味い麺類がありますよ。それは“うどん”です。意外と思われるでしょうが博多はうどん発祥の地なのです。古くから貿易港として栄えた博多港には大陸や東南アジアからいろいろな文物がもたらされました。うどんもそのひとつだったのでしょう。
博多うどんは讃岐うどんのような強いコシはなく、どちらかと言えばフニャフニャです。しかし鰹と昆布の出汁を染み込んでとても美味しいですよ。最もポピュラーなメニューは“まるてんうどん”。円い魚のすり身を揚げた物をトッピングします。
その存在感は大阪でいえば“きつねうどん”といったところでしょうか。まるてんは大阪で言うところの“ひらてん”です。牛蒡の笹掻きの天ぷらをトッピングした“ごぼう天うどん”もいいですね。
私が福岡にいたころ九響の練習は天神にあったNHKでやっていました。その隣町の大名という所に“大福うどん”といううどん屋さんがあって、練習の合間にはよく行きました。当時一階は立ち食い形式でしたが、現在は立派な食堂ビルになっています。博多駅の地下にも店がありますので、是非ともお寄りください。
有名なモツ鍋や水炊きも昔からありましたが、今のように全国的に知られるほどではなかったように思います。これもメディアの影響でしょうか。

つづく