◎3 ビールの話
だんだんと気候が良くなり、ビールが美味い季節になってきました。
ビールといえば、何と言ってもドイツですが、実際一人当たりの年間消費量ではチェコの方が多く、断トツの一位だそうです。
ドイツ人はビールばかり飲んでいるようなイメージがありますが、(確かにミュンヘンあたりでは生ビールが良く飲まれますが)、ドイツ全体として見れば、ドイツ人が好きなのはワインやコーヒーなのです。
私が初めてチェコのプラハを訪れたのは1989年、2月のことでした。その当時チェコはまだ民主化されてはおらず、町全体も社会主義国家独特の暗さが漂い、普段経験する空気感とは全く異なる雰囲気にショックを受けたものです。
スイスから陸路オーストリアを周遊しヴィーンでビザを取り、苦労の末鉄道でプラハに到着して真っ先にすることは、もちろん憧れのチェコビールを飲むことでした。
プラハ本駅一階は意外と近代的な施設ですが、二三階はアールヌーボー様式の堂々たる建物が昔のまま使われています。
レストランは簡単に見つかりました。だだっ広い宴会場のような広間。
そこで飲むビールのなんと美味かったこと!
普通のヘレスでも少し色が濃く、味も濃厚で“とろみ”さえ感じ、私のようなビール党にとってはたまらない飲み物でした。
旧市街を歩けばあちこちに起ち飲み屋があります。飲み物はビールだけ、ということが多く、黙っていても生ビールがでてきます。
ブラハへ鉄道で行くのならドイツとチェコの国境バイエリッシュアイゼンシュタインを通りピルゼン(プルゼニュ)経由で行くのがオススメです。何しろ道中の景色が素晴らしいのです! そして観光客も少ない。
ドイツのレーゲンスブルクからプラッティングでローカル線に乗り換え、国境まで列車は森(バイエリッシャーヴァルト)を縫うようにして進みます。国境からはチェコの鉄道に乗り換えますが本数は日に数本です。バイエリッシュアイゼンシュタイン駅は山の中で、駅前には店一軒ありません。チェコ側のパトカーだけが常駐しています。
時間はたっぷりあるので駅のチェコ側(駅舎の真ん中に国境があります)のレストランに入ってみましょう。ここで飲む生ビール、最高ですよ!
この駅からピルゼンの間は美しいボヘミアの森の中です。春など列車の窓を開け風をいっぱい受けながら乗れば、別の次元に入ったような幸せな気分になりますよ。スメタナ「我が祖国」のメロディーが聞こえてきそうです。
またビールを飲みにチェコへ行ってみたいものです。それだけでも行く価値はありますから。
続く
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