留学中あちこちで演奏する機会もありましたが、山本さんのチェロと共に音楽をしているという安心感が常にありました。

やがて日本に帰国し、山本さんのチェロを山本さんの下で再調整することになりました。
工房に戻ってきたチェロを見て山本さんは音色が出来上がり練りあがっているのを見てびっくりされていました。やはり湿度が安定しているヨーロッパの気候は弦楽器には必要なのだなと。
日本の梅雨から夏にかけてはまるで蒸し風呂、冬はカラカラ。これでは楽器には何かしらの影響があって当然です。有名な名器を所有している人のなかには夏の間、楽器のためだけに、エアコンをかけっぱなしにしている人もいると聞きますが、しかし、それも考えればナンセンスな話ですよね!
演奏に使われる楽器は博物館の展示物であってはなりません。そんな腫れ物に触るように気をつけなければならない名器など本当の名器だと言えるのでしょうか?