チェロ演奏の基礎とは何でしょうか?

私の教室にも、チェロを基礎からみっちり習いたいということで来られる方は時々来られます。

そんな時いつも思うのですが、演奏の基礎とは一体何か?

芸術など感じ方は人それぞれ。そこに基礎という観念が入り込む余地などはたしてあるのでしょうか?
感じ方に基礎など必要でしょうか?
弾き方にしてもそうです。
音楽など百曲あれば百通りの弾き方があり、それに引っ張りな演奏の基礎もそれぞれ違って当然です。
それを一通りの方法でやっつけてしまおうとするところに最大の問題があります。
極端に言えば、チェロなんかどう弾いたって良いのです。
足で弾いたって良いわけです。

よく一般の先生方は「君は基礎が全然できていない」などと新しく来た生徒に言ったりしますね。そしてその先生の色に染め直す。

しかし、よく考えてみると、
そういった先生は音楽を技術面でしか捉えていないような気がするのです。型に当てはめて教えた方がよっぽど楽ですし、芸術面から教えるのはとても苦難を伴うことです。
または自分の弾き方との差に違和感を抱いているのかも知れません。それで自分の色に染め直すのかも知れません。

基礎とは?

音楽をどのように感じるべきか?その考え方の基礎こそが一般的に言う演奏の基礎だと思うのです。

はっきり申しあげますと、演奏には基礎などあってないようなものだということです。
百人先生がいれば、百通りの弾き方で教え、それぞれ私の教える事だけが基礎だと言うでしょう。
つまり万国共通の基礎などないということです。

では、レッスンでは何を習うのか?
それは、音楽の感じ方、考え方を習うのです。それに尽きます。それが演奏における基礎だと思います。

したがって弾き方の基礎だけを習うということなどあり得ないことなのです。演奏
技術には常に音楽性、芸術性が伴っていなければだめだということです。