アマチュアの方に多い事なのですが、自分には本当にチェロを弾く才能があるのだろうか又はないのだろうか、こんなことを常に気にしている人がいます。本人にとっては大変な問題なのでしょう。確かに才能が有る無し、これは大変難しい問題には違いがありません。

そで今回は才能について考えてみたいと思います。

才能とは何かということを語ることはとても難しく、決して一言などで語れるものではありません。

先生の中にはいともたやすく、君は才能があるとか、才能が全くない、と生徒を決めつけてかかる方もおられます。閻魔様でもあるまいし(閻魔様がどう人を裁いているのかどうかは知りません)、こんな重要な問題をそんな簡単に一言で人を裁く事などできるでしょうか?
たいていそんな先生は、自分の感覚、つまりその先生の趣味と比較して、その時の気分でそうおっしゃっているのでしょう。自分の言ったことが通じやすいまたは従順な生徒は才能があり、いろいろ癖があったり話がなかなか通じない生徒はすべて才能なしというわけです。ただそれだけの理由でしょう。教師として教えたことが出来ればそれだけで嬉しいもので、才能があると言いたくなるのはわかります。

先生の教えを忠実に守りそれを実行する、これが出来るのも立派な才能です。
生徒とは教師の鏡のようなもので、例えば先生が間違ったことを教えたとすると。生徒はやはり教えられた通りのことを身につけてしまいます。それは才能が伸びたわけではありません。教師の言いなりになっただけです。とても恐いことです。
ただプロを目指すひとの場合、教師はそのひとのプロ適性を素早く見抜き、他の分野に才能が有ると確認すればその方に進むことを、助言できなければなりません。先生の才能が試される瞬間です。
まあ日本ではプロとして活躍するには音楽的才能よりも、世渡りのうまさの才能の方が重要視されることが多いですが。
そんなことはないだろうと思われる方。これは紛れもない事実です。

つづく