◎ デトロイト美術館展

先日、久しぶりに天王寺の大阪市立美術館に行ってきました。
デトロイト美術館展は7月から開催されていたにもかかわらず、行くタイミングを逃し続け、期間終了間際になってようやく行く機会を得たのです。
評判通り素晴らしいものでした!
財政破綻したデトロイトの町にこんな素晴らしい美術館がよく残ったものですね。びっくりします。

当日9月17日は祭日。雨天にもかかわらず大盛況。切符売り場は長蛇の列でした。

出品されていたのは五十数点でしたが、フランス印象派、ポスト印象派に重点を置かれているようです。それ以外にもココシュカやヴァロットンにも良い作品がありました。

中でも私が気に入ったのは、ドガの“楽屋の踊り子”とドイツ表現主義、エミール・ノルデの“ひまわり”の絵です。
ドガの絵は、全体的に沈んだ茶色で暗く、踊り子の衣装だけが浮き上がって見えます。画面左にコントラバスが床に置かれていて、踊り子がその上に足をかけてトゥシューズの紐を締めています。右の遠景には他の踊り子たちが控えている。そんな絵ですが、小さい絵にもかかわらず、とても奥行きを感じさせる作品でした。ドガの踊り子の絵は色調が暗い物が多いですが、それは当時の踊り子の社会的地位の低さに対するドガの心情を表しているのでしょうか。いや、純粋にダンサーの動きを際立たせるのには、この色調が必要だったのでしょう。
しかし、足で踏まれるコントラバスはかわいそう!

ひまわりの絵はとても衝撃的というか一度見たら忘れられない絵です。黒に近い深いブルーの背景に深い緑の葉、少し萎れた二輪のひまわりが描かれている。ただそれだけ。そんなシンプルな絵ですが、暗い背景とひまわりのオレンジに近いどぎつい黄色は見る者を不安な気持ちにさせます。不思議な夢を見ているような気分になりました。
ひまわりとは普通明るいというイメージですが、このひまわりは鮮やかでありながら萎れようとしている。死のイメージすら感じさせ、どこか不気味さを感じに取り付かれます。

 ノルデは他にどんな絵を描いているのでしょうか。
色は鮮やかなのに雰囲気は暗いようですね。

私が今までに衝撃を受けた絵は他にバーゼル美術館で見たハンス・ホルバインの『キリストの屍』と、同じくバーゼル美術館にあるベックリンの『死の島』です。
これらの絵はまたいずれ紹介させていただきます。(どちらも有名な絵なので、私が紹介するほどのことはないのですが。)

終わり

追伸

以前、JR天王寺駅から美術館までの道路を占拠していたカラオケ屋の屋台が無くなって、本当に静かになりましたね!付近のイメージも随分良くなりました。